外出が減った。
同時に言語への関心が高まった。
昨今の病原体への関心の度合いは変わらないが内心気付く事はあった。
父と母に生み出された私は彼らと同じ道程を辿り同じ生活を送ると思っていたがそれは違った。
私が嫌々するような行動をこの二人は嬉々として熟している。
私が楽しいと思う出来事を二人共怪訝な表情で呆れていたりする。
私が使う言葉を彼等は認知していなかったりするのだ。
先駆者と同じである事に安寧を得ていた私の胸の内の軸に僅かなブレが生じた。
それからガラスを一枚隔てているかのような疎外感で空間を諦観していた。
一人になると悲しくもないのに身体の内側から湧き出た水分が虹彩を鈍らせた。